WOMEN'S INTERVIEW
女性教員インタビュー
悩みながらも続けてきたことが、私を成長させてくれた。
「ここで働き続けたい」と思える職場づくりを目指して。

PROFILE
教員プロフィール
竹沢 恵 教授
着任時期:2004年4月
専門は画像・映像処理。大学院博士後期課程修了後、本学に講師として着任。2007年~准教授、2019年~教授に。学科教員として教育・研究に従事する傍ら、校務では、学生支援センター副センター長(2021.4~2024.3)、教育イノベーション推進副機構長(2023.4~2026.3)、2026年度から教育イノベーション推進機構長及び副学長補佐を務める。
教員の道を選んだきっかけ
教員の道を選んだきっかけを教えてください。
私が情報科学・工学系の分野で教員を目指すようになったきっかけは、大学時代に所属していた研究室での経験と、当時の恩師の存在です。
もともとは学部卒業後に一般企業へ就職することを考えていました。しかし、研究室で研究に取り組む中で、その面白さに惹かれるようになり、次第に研究を続けたい、そして研究や教育に関わる仕事に進みたいと思うようになりました。
また、恩師である女性の先生にも大きな影響を受けました。先生は研究者としても教育者としても本当に素晴らしい方で、今でも私にとって大きな憧れの存在です。先生のような姿には一生近づけないと感じていますが、身近にそのようなロールモデルがいたことで、大学教員という道を必要以上に遠いものと感じることなく、自然に将来の選択肢として考えられるようになったのだと思います。

現在の研究・教育活動について
現在の研究テーマと、研究室で大切にしていることについて教えてください。
現在は、画像・映像処理を基盤として、実社会の課題解決や生活支援につながるサービス・システムの開発に取り組んでいます。
研究室では、学生がそれぞれの関心や適性に応じてテーマを設定し、卒業研究に取り組んでいます。研究テーマは、画像認識や映像解析だけでなく、生活支援、農業、教育、交通安全など、身近な課題に情報技術を応用するものも多くあります。
研究室運営で大切にしているのは、学生が「自分の研究」として主体的に取り組める環境をつくることです。最初から高度な成果を求めるのではなく、まずは自分で考え、試し、失敗しながら改善していく経験を重ねてほしいと考えています。その過程を通じて、技術力だけでなく、課題を見つける力や最後までやり遂げる力を身につけてもらいたいと思っています。
また、学生が「研究室に来たくない」と思わずに済む雰囲気づくりも大切にしています。卒業研究は大変ですし、ときには辛いこともあると思います。それでも、その大変さが理由で大学から足が遠のくようにはなってほしくありません。研究に悩むことがあっても、「とりあえず研究室には行こう」と思ってもらえるような場所にしたいと考えています。
実際にどこまで実現できているかはわかりませんが、安心して過ごせる研究室の雰囲気づくりを意識しています。
教授として感じること
教授に昇格され、研究室を運営する立場になってから感じていることを教えてください。
教授に昇格したからといって、自分自身の中で劇的に何かが変わったという感覚はあまりありません。ただ、昇格に伴って校務などの役割が増えたことで、学生指導や研究室運営に向き合う大変さは少し増したように感じています。
ありがたいことに、これまで良い学生に恵まれることが多く、研究室運営で「ものすごく大変だった」と感じる経験はそれほど多くありません。ただ、学生一人ひとり性格も違いますし、卒業研究と並行して進める就職活動の状況もそれぞれ異なります。そのため、研究の進捗だけでなく、学生ごとの状況や気持ちに合わせて対応することの難しさは感じています。
一方で、卒業研究を通して学生が成長していく姿を見られることは、とても嬉しいです。また、卒業後に研究室へ遊びに来てくれることも嬉しい瞬間ですね。
教授になってからというより、年齢や経験を重ねる中で、学生への接し方も少しずつ変わってきたように思います。以前は今よりも厳しく、とげとげした面もあったかもしれませんが、最近は丸くなったのではないかと思います。
学生にとって相談しやすい存在でありたいという気持ちも以前より強くなりました。学生それぞれの状況を見ながら、必要なときには支え、必要なときには背中を押せるような関わり方をしていきたいです。

キャリアと私生活の両立について
キャリアを重ねる中で、子育てや私生活との両立についてどのように向き合ってきましたか?またキャリア観に変化はありましたか?
子育てと仕事の両立については、まさに現在進行形で向き合っているところです。結婚したときには生活が大きく変わったという感覚はあまりありませんでしたが、子どもが生まれてからは本当に劇的に変わりました。
子どもが生まれる前は、深夜まで大学に残って仕事をすることも普通にありました。しかし、子どもが生まれてからは、当然ながら同じような働き方はできなくなりました。特に保育園に入園したばかりの頃は、子どもがよく体調を崩し、保育園から急に「迎えに来てください」と連絡が来ることもありました。また、子どもが保育園に行きたがらない日もあり、仕事との間で気持ちが揺れることもありました。
正直に言うと、子どもが生まれて生活が大きく変化した時期には、それまでと同じ働き方を続けることが難しくなり、戸惑いや葛藤を感じたこともあります。ただ、その中で少しずつ自分の価値観も変わっていきました。仕事の質を下げるということではなく、限られた時間の中で何を大切にするか、どのように続けていくかを考えるようになったのだと思います。以前と同じスタイルで働き続けることにこだわらなくなったとき、少し気持ちが楽になりました。
もちろん、私の場合は夫や両親のサポート、そして職場での理解があったからこそ、ここまで続けてこられたと思っています。本当に感謝してもしきれません。
子育てをしながらでも、それまでのペースを保てる人もいると思います。一方で、私のように同じ働き方を続けることが難しくなる人もいます。どちらが正しいということではなく、それぞれの状況の中で自分なりの形を探していくことが大切なのだと思います。
そうした経験も含めて、キャリアは一直線に積み上げるものというより、その時々の生活に合わせながら続けていくものだと考えるようになりました。
校務役職と教育・研究活動について
大学運営に関わるさまざまな役職を経験されてきました。そうした経験を通して感じていることを教えてください。
これまで、学生支援センターや教育イノベーション推進機構などで、さまざまな役職を経験させていただきました。正直なところ、新しい役職をいただくたびに、まず感じるのは「私でよいのだろうか」という気持ちです。身の丈に合っていないのではないかと思うような大きな役割を任せていただくこともあり、現在もその思いはあります。
もともと私は、人前に出ることや話すことがあまり得意ではありません。教員という仕事をしていながら少し矛盾しているようですが、新しい役職を担うたびに、会議で発言したり、多くの方の前で説明したりする機会が増え、そのたびに正直ストレスを感じることもあります。
ただ、そのように少し無理をしなければならない環境に置かれることで、自分自身が成長してきたとも感じています。「少し難しい課題」「少しハードルが高い役割」を与えていただき、それを何とか乗り越えようと努力してきたことが、自分の経験や視野を広げてくれたのだと思います。
大学運営に関わる中で、自分の授業や研究室だけでは見えなかった大学全体の課題や、学生を支える仕組みの大切さを考える機会も増えました。学生支援や教育改善に関わる仕事は、直接的な研究成果とは違うかもしれませんが、学生が学びやすい環境を整えるという意味で、教育活動と深くつながっていると感じています。
一方で、教育・研究活動との折り合いをつけることは簡単ではありません。役職に伴う会議や業務が増えると、研究や学生指導に使える時間はどうしても限られます。その中で、すべてを完璧にこなすことは難しいので、優先順位を考えながら、その時々でできることに丁寧に向き合うようにしています。
大変さはありますが、役職を通じて得られた経験は、自分の教育観や大学を見る視点にもつながっていると思います。自分では選ばなかった役割を与えていただき、そのたびに悩みながらも取り組んできたことが、結果的に自分を少しずつ成長させてくれたのだと感じています。

本学の未来について
これから北海道科学大学にどんな雰囲気・環境をつくっていきたいですか?
これからの北海道科学大学には、学生にとっても、教職員にとっても、安心して過ごし、成長していける環境があってほしいと思っています。
大学にとって、学生を大切にすることは言うまでもなく重要だと思います。一方で、学生のためという言葉のもとで、教職員が無理をし続けるような環境も、長く続いていかないと思います。学生を大切にすることと、教職員を大切にすることは、本来どちらか一方ではなく、両方が必要なのだと思います。
教職員も一人の人間ですので、それぞれのライフステージの中で、育児や介護、体調のことなど、さまざまな事情を抱える時期があります。そうした大変な時期があっても、簡単にキャリアをあきらめたり、職場から離れたりしなくてよい環境であってほしいです。ただ、それは単に制度を整えるだけで実現できるものではなく、周囲との調整や相互理解も欠かせないものだと思います。誰か一人に負担が偏ったり、不公平感が生じたりするのではなく、それぞれの立場や状況を理解し合いながら、納得感を持って支え合える職場であることが大切だと思います。これはとても難しいことですが、目指す価値はあると思っています。
また、北海道科学大学には、地域に根差した大学であってほしいという思いもあります。大学祭に地域の子どもたちがたくさん来てくれたり、保育園のお散歩で小さな子どもたちが本学の中で遊んでいる姿を見ると、とても温かい気持ちになります。大学が学生や教職員だけの場所ではなく、地域の方々にとっても身近で、開かれた場所であることは、本学の大切な魅力の一つだと思います。
学生が「この大学で学んでよかった」と思える、教職員が「ここで働き続けたい」と思える、そして地域の方々が「身近にあってよかった」と感じられる、そうした大学の雰囲気づくりに、これからも少しずつ関わっていければと思っています。
情報・工学系の分野で教員を目指している女性の方へ
私自身、高校、大学、現在の職場と、女性が少ない環境に長く身を置いてきました。大学では同級生の中で女性はごく少数でしたし、現在も学科の中で女性教員は私一人です。
ただ、あくまで私自身の経験としては、女性が少ないことで大きな不便を感じたり、女性であることを理由に不利益を受けたと感じたりする場面は多くありませんでした。私にとっては、この環境が特別というよりも、かなり自然なものとして受け止めてきたように思います。
もちろん、そう感じてこられたのは、自分が恵まれていたことに加えて、周囲の方々が自然に受け入れ、支えてくださっていたからなのだと思います。特に本学や現在所属している学科では、女性だから、男性だからというよりも、一人の教員として、研究や教育、学生への向き合い方を見ていただいていると感じています。
一方で、子どもが熱を出したときなど、家庭の事情がある場面では、周囲の方々に本当に配慮していただいてきました。私自身も、無理に隠したり抱え込んだりせず、必要なときには正直に状況を伝えるようにしています。そうしたことを自然に受け止めてもらえる環境があることには、とても感謝しています。また、他学科の女性の先生方や女性職員の方々が、家族や子どものことを気にかけてくださる場面も多くありました。仕事の面で女性であることのデメリットを感じる場面は多くありませんでしたが、ふとしたときに近い感覚で話せる方々がいることは、やはり心強かったです。
ただ、自分が女性であることをまったく意識してこなかったわけではありません。正直、こういうインタビューを受けている時点で、やはり「女性教員」として期待されている部分はあるのだと思います。女性が少ない分野である以上、自分が何かの役割を任されたときに、「女性だから選ばれたのではないか」「特別扱いされているのではないか」と考えることもあります。
でも、それを否定的に捉えているわけではありません。過渡期である以上、そうした役割を誰かが担うことで、次の世代につながっていく部分もあるのだと思っています。
情報・工学系の分野は、まだ女性が少ない分野かもしれません。ただ、興味があるなら、人数の多い少ないにとらわれすぎず、自分が学びたいこと、取り組みたいことを大切にしてほしいと思います。
本学への着任を考えている方にも、女性だから、男性だからということに必要以上に縛られず、一人の教育者・研究者として、自分らしく力を発揮していただけたら嬉しいです。

※本記事は2026年6月時点の内容です。


